GNヒアリングジャパン株式会社 ウェーバー社長インタビュー

現在、日本で活動する補聴器メーカーは、11社あります。

その中でも、本日ご紹介するのは、世界有数の補聴器メーカー2社で日本法人代表を勤めるという異色の経歴をお持ちのGNヒアリングジャパン株式会社、ウェーバー社長。業界でも珍しい動画による社長インタビューを突然お願いしましたところ、なんと、なんと快諾いただきました。そのインタビューの模様を3部構成にてお届け致します

1. 日本の補聴器市場と業界について

インタビュー第1部では、主に以下のような質問、ズバッと聞いてみました!

<規模と周辺事情>

  • 日本の市場規模
  • 今後の拡大可能性、現在の補聴器流通(出荷台数)について、どう感じておられますか?
  • 見えない競合製品として、通販型補聴器、異業種からの補聴器参入等の話題についても

<海外と日本の違い>

  • 海外と日本の補聴器ユーザーの違い(購入過程、満足度、メーカー、機能、価格に対する認識度)
  • 補聴器販売店の違い (流通スタイル、店舗設備、調整過程)

インタビュー第1部のまとめ

  • GN独自調査によると、日本の補聴器普及率は実質11%と見ている。(業界調べでは14.5%だが)
  • 日本の補聴器普及率を向上させる為に特に重要なのは、メーカー、販売店、国が一体となっての補聴器の知名度を高める啓蒙活動
  • 販売店の教育システムの充実。(※欧米と異なるのは、エキスパートとしての認知力)⇒ 顧客満足度の上昇につながる。
  • 日本の販売店の設備、測定器の充実は必須。防音室、特性器、そして実耳測定が今後の課題
  • オトスキャン(3Dタイプの耳型採取)は安心・安全面からの今後のトレンドに。
  • 新たなオーバーザ・カウンター(OTC・通信販売)製品の登場は、業界全体にとっては裾野を拡げるという意味では“社会的メリット”として、ポジティブに捉えている。
  • 2019年度、充電タイプの補聴器が業界を牽引している。中でもGNヒアリング社製品では持ち運び可能な充電タイプ、クアトロシリーズが大人気。将来的には耳穴タイプの充電モデルも…
  • 海外のトレンドは遠隔操作。UHA(ドイツで行われる 世界的な 補聴器展示会・学会)でも発表があった。

2. GNヒアリングジャパンの取り組みについて

第2部ではGNヒアリングジャパンの現在の取り組み、活動について聞いてみました。

  1. 無料オンラインツール「きこえのチェック」 からスタートするデジタルマーケティングについて
  2. GN150周年記念イベントについて 1万名の方から応募のあったツアーとは?
  3. 昭和女子大学とのコラボイベントについて
  4. イメージキャラクター辰巳琢郎さん起用の狙いは?
  5. アンドロイドスマホとの連携について

インタビュー第2部まとめ

  • GNと日本とのつながりは明治4年。ヨーロッパから長崎まで初めて通信ケーブルを引いたのきっかけ。デンマーク招待ツアーには1万人の応募があった。
  • ホームページを訪れた人に興味関心を持ってもらうのがデジタルマーケティングのスタート。オンラインツール「きこえのチェック」は、公開以来多くのアクセスがある。耳年齢アプリは業界ナンバーワンのダウンロード数を誇り、近年リリースした耳鳴り緩和アプリも非常に評判が良い。
  • デンマーク大使館からの依頼あって昭和大学とのコラボイベント「ラーニングイベント」が実現。学生の若い頭で考える補聴器業界のケーススタディーの中には斬新なアイデアのもあった。
  • 辰巳琢郎さんの起用はズバリ、「心理的年齢」(≒頭で考える年齢)心理的年齢は、肉体年齢よりも若いと考えるのがその理由。
  • 通信関係の会社であり、他社とタイアップする風土がある。iPhoneに続きアンドロイドとの連携もこうした背景から出来たもの。

3. ウェーバー社長のプライベートな話題と読者へのメッセージ

補聴器専門マガジンだからこそ出来ることは?の視点からウェーバー社長のプライベートなお話にまで突っ込んで聞いてみました。

  • 健康管理のために行っていることは?
  • ご出身のドイツのおすすめスポットを教えて下さい!

インタビュー3部のまとめ

健康管理のために行っていることは?

  • 毎週、3回(計20,30キロ)のランニングは欠かせない。継続するコツは習慣化すること。
  • 野菜、フルーツなどバランスを考えて摂取する
  • 睡眠時間は7時間は必ず取る

ウェーバー社長のご出身のドイツで、おすすめのスポットは?

  1. ヴュルツブルク フランケルワインやシーボルトの出身大学で有名
  2. ローデンブルグ ロマンティック街道のスタート地点
  3. レーゲンスブルグ 人口10万人くらいの綺麗な街

最後に。全インタビューのまとめ

このインタビューを受けてくださった理由は?

補聴器の認知を広める啓蒙活動を応援したいと思ったから。

読者(視聴者)に向けてお伝えしたいことは?

補聴器業界は面白い。製品自体はハイテク。加えて、消費者を助けQOLを高める製品。日本のユーザーはまだまだ少なく、ポテンシャルのある業界でもある。

業界を拡げるために皆が頑張ってほしい。お客様を呼び込む活動、入りやすい店作りなどメーカー、販売店がともに頑張ってほしい。さらに耳鼻科病院関係者も合わせて早目の装用を増やしましょう。ユーザーの皆様のQOLを高めることで、国にとっても社会にとっても様々なメリットがある。

補聴器をそろそろ考えている方へのメッセージ

●おすすめしたいことは2つ

  • 早目の装用。海外のケーススタディより、満足度が高まることが分かっている
  • まず、両耳装用を考えてほしい。満足度は高まる

補聴器装用を躊躇している方へのメッセージ

  • 補聴器はカッコ悪いものではない。QOLは良くなる
  • 自身の両親も補聴器をスタートした。装用までの時間はかかったが今では毎日つけている

【番外編】初公開!ウェーバー社長の本棚

補聴器販売店の中には、ウェーバー社長を尊敬するファンの方も多数おられます。今回は特別にウェーバー社長オススメの本を紹介していただきました。

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取材を終えて

マサヒト

 このインタビューを行ったのが、2020年1月初め。その後、目まぐるしく動く社会的な情勢。ウェーバー社長が見越しているトレンド、例えば第1部で話題に登った「遠隔調整」の重要性が、ここに来て現実的にハッキリとニーズとして動き出している印象があります。その他、これまでの、補聴器業界の当たり前とされてきた「教科書」には決して載っていないキーワードのオンパレード。新しい視点が補聴器の世界に入り込んできている感じがします。引き続き補聴器の啓蒙と満足度向上、そして補聴器の普及率アップのためのアクションに期待しております。 取材:ナカムラマサヒト